月よ夢よ

親愛なるあなたへのお手紙として

約束

f:id:tukinoyume:20180812210622j:plain

 

 

 今年のはじめごろ、自作のコラージュをTwitterに載せていらっしゃるかたの作品に惹かれて、「わたしの印象でコラージュをつくってくださいますか」と、お頼みしたことがありました。彼女とはお互いの存在を認識していましたが、お話したのはそのときがはじめてだったと思います。

 

 これはそのとき彼女に制作していただいたコラージュの一部です。

 

f:id:tukinoyume:20180812211716j:plain

 純白の翼をもつ者は薔薇を祈るように捧げもち、花びらで片目を隠す。その瞳には片側の未来が映っているのかもしない。夢と現実のあわいで、「翼」という純白は均衡をわずかに欠いている。おおきく羽をひろげたうつつを直視し、そこに視線の矢を放っている。

 

f:id:tukinoyume:20180812211711j:plain

 

 紫陽花は蝶の翅みたいな花びらでひとつの王国をつくっている。

 

f:id:tukinoyume:20180812211706j:plain

 

 背後の月は天使の頭上にかかげられた光の輪のようで、しかしこのかたはまだその「月」の存在に気づかれていない。だからその翼も生まればかりのようにちいさくて、しかしその「ちいささ」にはおさまりきれないほどに、美しいものを夢みている。蝶と花。いつか自分自身の「月」に気づかれるでしょうか。

 

 

f:id:tukinoyume:20180812211702j:plain

 

 一角獣。その聖なる生き物がおのれの獰猛さを隠して自らのなかに宿している毅然としたやさしさをむけるのは、貴婦人みたいな乙女に対してだけだ。《彼女》の外界にむけて角をむけている、神聖な獣。

 

 

 わたしは彼女のコラージュはもちろん、彼女がtweetであげられる詩も大好きでした。あなたの詩から金子千佳を思いだすと、この作品のお礼とともに申しあげたことがあります。燃える彗星のような血が言葉にかよっている気配に、わたしはそう感じたのです。星の血の色に植物の樹液のような漂白がまざり、生々しい幻視を生みだしている、その気配に。

 

 その彼女が詩集をおつくりになりました。


 やはり「血」の気配が濃厚で、それが臙脂色をした彗星のように燃えているのに、なぜだかそこに宿る情念のなまなましさは幻視的で「白い」イメージを、わたしは彼女の言葉を目で撫でながら感じました。わたしにはその「白」が樹液のように感じられて、植物的だなと思ったのです。臙脂色でありながら白、植物でありながら血なのです。おわかりいただけるでしょうか。

 

 たとえば少女と女のようだなと思いました。


 ひとりの女のなかにある情念。それは赤い紅い情熱で、燃えつきるために疾走し、燃えつきたあとは失踪する星のような焔。しかしそれでいながらその女の血は「樹液」に近い。樹液であるからには、「彼女」はもちろん、植物なのです。けれども植物であるからには「彼女」は少女でもある。

 少女という生き物はひどく植物的だとわたしは感じているのですが、彼女たちは「女」になるとき「花」ひらいてしまうので、「植物」である自分の繭であり殻を、空蝉みたいに脱ぎ捨ててゆきます。


 そして燃えつきる星となるわけですが、彼女の詩には「女」と「少女」が同時に潜在し、燃えつきる星でありながら花ひらくまえの植物でもある印象を受けました。そしてそれが非常に魅力的だと思います。

 

 それは白く紅い幻視。

 

 

f:id:tukinoyume:20180812210835j:plain

f:id:tukinoyume:20180812210618j:plain

 

 

 彼女の詩はこちらから購入できます。